2013年12月号Vol.18

2012年12月24日。昨年のクリスマスイヴ、私は引っ越しました。朝から晩まで、段ボールを畳んだり、家具の角に足の小指をぶつけて泣いたり、雪崩を起こす本の山に茫然としたりしていました。
一人作業はつまらないので一日中ラジオをつけていました。どの局もクリスマス・クリスマス・クリスマス。

 

昼のラジオ。胸キュンのクリスマスエピソードが投稿され、その思い出を彩るクリスマスソングが流れます。
「7年前のイヴ。彼がホテル最上階のディナー&スイートルームをこっそり予約していて、そこでプロポーズされたんです!思わず泣いちゃいました・・・。二人の子どもに恵まれ、今年は家族4人でクリスマスです」 「毎年クリスマスは彼は仕事。でも、25日の朝に彼からプレゼントが届くんです。サンタさんみたい~」「もう8年間、イヴの夜はうちに一人身の男女が集まってしこたま飲むのが恒例イベント。その中でカップルができる事もあってムカつく・・・と思ってたんだけど(笑)、そこで生まれたカップルが結婚することになりました!腹が立っていたのも忘れて、なんだか鼻が高いです」などなど。

 

「ヒューヒュー♪」「いいにゃあ~」「うひゃー」いちいちラジオに合いの手を入れる私。その時は楽しかったのですが、いま思い返すと、悲しい光景かもしれません(苦笑)。名古屋のショッピング街から公開生放送をしているらしく、パーソナリティが「皆さん紙袋を抱えていらっしゃいます。プレゼントを買いに来たんですかね~?あっ、そうそうと、頷いてくれる方もいらっしゃいます。」クリスマスにノロケ話ができる人&ショッピングに出かける人を対象にしたハッピー番組でした。
幸せのお裾わけをいただいているような気がしました。

 

さて夜のラジオ。番組が変わったのか、局を変えたのか覚えていないのですが・・・“幸せなイヴを過ごしている人”ではなく、“イブの夜に頑張っている人”に向けた番組が流れてきました。テーマは「励まされたMr. Childrenの曲」。浪人生から、「イヴの夜も勉強です。挫けそうになると、『終わりなき旅』で自分を奮い立たせています。♪高ければ高い壁の方が、のぼったとき気持ちいいもんな~♪のフレーズが大好きです。」イヴ直前に失恋した男性から、「先日彼女に振られました。今夜は他の男と過ごすそうです。プレゼントも買ってあったのに・・・。『Over』の♪愛しき人よさよなら~♪が聴きたいです。今夜は飲むだけ飲んで、来年は前を向きます。」 仕事中のタクシードライバーから「今夜は飲む人が多いので忙しいです。イヴの夜、
子どもが起きている時間に帰れた事がありません。『PADDLE』の♪良いことがあってこその笑顔じゃなくて、笑顔でいれば良いことあると思えたら、それが良いことの序章です~♪をお願いします」

 

「いいなぁ」としみじみ思いました。クリスマスというと「幸せ組」と「惨め組」に分けられるような、そんな煽りを感じていましたが・・・イヴの夜に戦っている人達にスポットを当てて、それを応援するような番組もある事にとっても嬉しくなりました。なんというか、こーゆーのは良い社会です。さてラジオ終盤、リスナーから感想が届きます。「最高のクリスマスです。ありがとう。」「僕が働いているからクリスマスを楽しめる人もいるんです。そう思ったら、クリスマス職務も悪くない。」

 

世の中は、思っていたよりも美しい―・・・。
昼の胸きゅんラジオと夜の応援ラジオから、そんな事を感じた一日でした。

 

今年も1年お世話になりましてありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。