2021年7月Vol.101 サクッと小噺
※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。
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「猫に名前を付けるのは、とても難しいことなのです」―とはT.S.エリオットの詩の一説ですが、名前を付けるのが難しいのは猫に限ったことではありません。
商品に名前を付けるのだって相当難しいと思います。商品のイメージに合って、覚えやすくて、売れそうで、かつ先行品とかぶらない名前が理想ですが、なかなか難しいんですよねぇ・・・。
P.D.R.の商品の中で、私が一番好きな名前は、マスクの「ミミラクダ」です。
「耳」と「ラクダ」という馴染み深い単語でできているので覚えやすいと思います。長時間つけていても耳が痛くなりにくいゴムを使っているのですが、そんな説明をせずとも、「ミミラクダ→耳ラクだ→耳がラクなんだろう」と連想できます。また、マスクのパッケージにラクダのイラストを盛り込むなど、デザインの方向性も商品名から決まりました。実は、耳がラクなマスクはミミラクダだけではなく、ミストラル(ゴムが柔らかい)、ひぃふぅみぃ(ゴムの幅が広い)、プルム(ゴムがフワフワ)など他にもあるのですが、ミミラクダは名前のおかげで「耳がラクなマスク」として覚えていただきやすくなっています。名前で得している商品と言えるでしょう。
意外なメッセージが込められた名前もあります。たとえば歯ブラシの「シャカシャカ」はヘッドが大きくて毛がたくさんあります。短時間でもきれいに磨けることを目的とした歯ブラシです。
そんな「シャカシャカ」の名前は、なんと「釈迦」から来ています。あまり知られていませんが、お釈迦様は歯が40本もあるのです。40本もあったら歯磨きはさぞ面倒くさいでしょう。
短時間でも磨ける歯ブラシをぜひお釈迦様にも試していただきたいーという想いから、商品名が決まりました。ちなみに、最初の案は「シャカ」だったのですが、「仏具みたい」とか「おしゃかになる=ダメになる、という意味だからマズイ」などの懸念を受けて、「シャカシャカ」になりました。同音を繰り返したら音感が可愛くなったし、ブラッシングの音にも通じるところがあります。
商品の質と価格から名づけた例もあります。ニトリルグローブ「ボルク」は、当時まだ手触りが硬いことが多く、価格も高めなことが多かった二トリルグローブを、「使い勝手が良くて価格も高くないから、みんなが使いやすい」という意味で「ボルク」になりました。ドイツ語のVOLK(人、国民)です。自動車のVolkswagen(フォルクスワーゲン)も、当事は普通の人には手が届かなかった自動車を、みんなが持ちやすい車として発売したそうですが、同じようなニュアンスですね。
このように、商品の名前にはいろんな意図が込められています。―と言い切るとカッコいいですが、ノリで付けた名前もあります。たとえばグローブ「ドーン」の由来はドーンと500枚も入っているから、それだけでした。でも、後になって、大容量だし薄いからドーンと安い、安いからドンドン使える、カートン3000枚入はドンッと重い・・・
などなど、ダジャレも生まれて、手前味噌ですが良い名前だと思います。
名前なんて何だっていいよ!と言われたら、そうかもしれません。名前以上に商品そのものが大事なのはもちろんです。
それでも、お客様に「ドーン重宝してるよ」なんて言われると、「あ、名前まで覚えてくださっている・・・」と思って、私たちは嬉しいのです。
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サク
歯ブラシ
シャカシャカ トルネ