6月の1冊
こんにちは、PDR米澤です。
今回は毎月恒例、私の独断と偏見に基づいた書籍紹介をさせていただきます。
今回、ご紹介させて頂く本は、ジェフリー・ムーアの「キャズム」という本です。サブタイトルが「ハイテクをブレイクさせる超マーケティング理論」となっている、簡単に言うとマーケティングの本。刊行は1991年と古いのですが、今でもMBA関連の書籍で引用される事もあり、ハイテク市場マーケティングにおけるバイブル的存在らしいです。
詳しい説明は長くなってしまうので割愛させていただきますが、この本における「キャズム(溝)」とは、先駆的ユーザー(新しいもの好き)と一般的ユーザー(実用性重視)の間に存在する溝をさします。この本が出るまで、一般的に新商品の普及は市場の16%(先駆的ユーザーの割合)を超えれば、急激に広がるとされていました。しかし、著者のジェフリー・ムーアはその理論にそぐわないケース(特にIT商品おいて)がある事を発見し、先駆的ユーザーと一般的ユーザーの間に大きなキャズムがあり、それを超えなければ新商品は普及しないと主張しました。
もはや、忘れられつつある「ブルーレイ 対 HD-DVD」の規格争いを例にとると、HD-DVD陣営(東芝、NEC)は映画配給会社を仲間に引き込めなかったため撤退する事になり、ベータと同じ轍を踏まなかったブルーレイ陣営(ソニー、パナソニック)が勝利。この間、先駆的ユーザーは規格争いの勝敗に関係なく、自分が欲しいと思ったレコーダーを購入。一般的ユーザーは規格争いに負けた製品を買うリスクは冒したくないので、ブルーレイ陣営の勝利が確定してから、ブルーレイ用のレコーダーを買い始めました。この例からも、先駆的ユーザーと一般的ユーザーの間には大きなキャズムがある事がうかがえます。
とはいうものの、あくまで理論ですので悪しからず。実際に新商品が普及するかどうかは神のみぞ知る事なのかもしれません。このブログもどうやったらキャズムを越えられるのか…神様教えてください。