書く時に思うこと

こんにちは、入社3年目の櫻井です。
私はP.D.R.で、文章を書く仕事を3つほど担当しています。
セールチラシの挨拶文、お支払方法が自動引落のお客様に送るコラム、社内報、です。
どれも“丁寧で一般的”よりも、“インパクトがあって個性的”な文章を心がけていますが、それぞれ意図は違います。今日はそんな話をさせてください。

 

セールチラシの挨拶文は、「こんにちは、セールチラシ編集担当の櫻井です」で幕を開けます。この一文の通り、ここでの私は“P.D.R.で働いている櫻井”です。櫻井個人である前にP.D.R.なんです。この挨拶文に好感を持ってくれる方がいらっしゃったら、その気持ちが私ではなくP.D.R.に向かうようにしています。内容はP.D.R.の誰かについて書く事が多いです。グローブ担当の小野、石膏担当の宮田、紙コップ担当の棚橋など…。この時、彼らの商品について語るのではなく、商品の後ろに隠れた彼らを語るように心がけています。マーケティングコンサルタントの藤村正宏先生から学んだのですが、「モノが氾濫している昨今、限りないモノの情報に人々の感度は麻痺している。商品ではなく商品に関わる誰かの個人的な話をして初めて、そんな彼らの注意をひく事ができる」そうです。セールチラシはどうしても人の情報より商品の情報の方が多くなります。ならば、せめて挨拶文でモノではなくヒトの話をしたい。セールチラシの挨拶文は、“櫻井個人である前にP.D.R.であり、”そして“商品よりも人について語る”文章です。

 

一方で、お客様に送るコラムは「こんにちは、サクライです」で幕を開けます。ここでの私は“P.D.R.である前にサクライ個人”で、とことん私の個人的な話をするようにしています。これも藤村先生の受け売りですが、「販促系のメッセージばかり送り続けると、お客様はウンザリする」そうです。「たまには商売と何の関係もない、自分の話をしなさい」と。カナダの大学に通っていた私、宗教学を専攻していた私、本とタイが大好きな私、家族と仲良しな私、恋愛に悩む私などなど…コラムでは、サクライらしさを一番大切にしています。そして読者の好意も不快感も、P.D.R.ではなく私自身に来るように心がけています。また、10人読んで10人とも「うん、いいね」という文章より、9人にソッポをむかれても1人が「もっと読みたい!」と思う文章を書かなければ、文章でファンは作れない、という原則も忘れないようにしています。この掟は村上春樹から学びました。私はビビリなのでなかなか彼ほど思い切れないのですが…それでも、“失敗を避けて大人しくする”よりは“積極的に笑いを取りに行く”文章を書こうとは思っています。コラムの文章は、“P.D.R.である前にサクライ個人であり、”そして“リスクを厭わずチャレンジする”んです。

 

最後に社内報ですが、これは「こんにちは、櫻井です」という自己紹介の類で始まりません。私の話でも私から見た誰かの話でもなく、仕事のテーマで書いています。「会社の人間それぞれ得意分野は違うので、その違いを活かして働こう」とか、「自分の夢と現実の仕事の関連性を見つけよう」といった事です。社内報を書く目的は、より良い会社を作る事―今ある問題を解決し、今ある長所を伸ばしていく事です。できるだけ真実を書く新聞とは違い、社内報は3割の真実と7割の理想を書いて、会社の方向性を創造するものだと思います。たぶん政治哲学者の姜尚中先生に教わったのですが(違う人だったかもしれない)、言葉は、社会の現実をえぐり出す力を持つ一方で、理想を書いて社会が進むべきベクトルを作る力もあるそうです。社内報は後者です。日常の仕事の中で、「これP.D.R.のイイところだな」と気づきがあったら、「こうなったら更にイイ」と想像力を膨らませて記事を書きます。逆に「これP.D.R.の悪いところだな」という気づきがあれば、「こうしたら解決するかも」と案を出して、社内全体に行き渡るような記事を書きます。社内報のネタ探しで必要なのは、長所短所を見つける感受性と、それを広げる想像力です。社内報は、“3割の現実を元に7割の理想を広げ、会社の方向付けに貢献する”ようにしています。

 

セールチラシの挨拶文、コラム、社内報と3つの仕事について話しましたが、私はどれも大好きです。そして、違う媒体で・違う意図で・違う内容の文章を書いて、それでいて全て櫻井カラーの文章を書くというのは、とても勉強になります。どれか1つに特化して書くよりも、相乗効果で成長が早いと思います。この恵まれた環境をしっかり活かしていきたいです。もっともっと面白い文章が書けますように!