千代の介書店
こんにちは。本日のブログは、入社2年目の櫻井が担当いたします。
毎週末、彼氏にも内緒でコッソリ会いに行き、貢いでいる男がいます。
家から会社までの途中にある「千代の介書店」のお爺ちゃんです。
千代の介書店は、お爺ちゃんが生涯をかけて集めてきた古書が置いてあります。
新刊・漫画・雑誌などは皆無ですが、古書のラインナップはと~っても充実しています。
たとえば「谷崎純一郎が読みたい」と思った時、この街にある他の本屋さんの「谷崎」には限りがあります・・
代表作 『刺青』や『細雪』はありますが、『卍』『少将滋幹の母』『猫と庄造と二人の女』などはありません。
でも千代の介書店ならあります。代表作から有名ではない作品まで、一通りそろっています。
「谷崎の作品ではなく、谷崎という人物を知りたい」と思ったら、谷崎の伝記や解説書もたくさんあります。
「谷崎が出版した当時の本がほしい」と思ったら、戦前に出版された本もあります。
初版だと数万円ですが、初版でなければ1500円程度で買えます。
お客さんの数は、日に1人~2人です。
毎週末、そんな千代の介書店に足を運びます。週末に2冊購入して、1週間かけて読み終えて、また週末買いに行く…
というサイクルの繰り返しです。さて、この間の週末の時のこと。
私 「今日はコレください」(『痴人の愛』と『瘋癲老人日記』)
爺 「最近、谷崎純一郎だねぇ」
私 「大人になってから読み返したら面白いんです」
爺 「谷崎は面白いよ~!文章もいいけど、彼の伝記も読んでごらん。面白い人生だよ」
私 「小説みたいに、妖しく艶めかしく生きたんですか?」
爺 「奥さんを友達にあげたりねぇ」
私 「それじゃ『蓼喰ふ虫』じゃないですか?!」 (※谷崎の作品)
爺 「そうだね。そーゆー土壌があるから、あれだけの作品が書けるんでしょう」
スイッチが入ったらしく、そこからお爺ちゃん語る語る。
いろいろな事を話してくれましたが、つまるところ、彼が言いたいのは、
「本を読むと、自分の頭で考えるようになる。他人に何を言われても鵜呑みにせず、いったん立ち止まって考えられる。
本は財産ですよ」という事だったと思います。
私が読むのは実用書ではなく、もっぱら小説です。言ってしまえば、生活において、直接役に立たない本です。
それがお爺ちゃんの言うように、私の血となり肉となり骨となり、
「考える力」になっているなら、嬉しい限りでございますなぁ。
千代の介書店は、名古屋市名東区にある藤ヶ丘駅から徒歩2~3分です。
ロケーションばっちり、品揃えもスゴイ、それでも客は日に1~2人。
文学が好きな方、どうか覗いてあげてください。そして買ってあげてください。