2016年9月Vol.50
チャオ! サクッと小噺のサクライです。先日ハネムーンでイタリアに行ってきました。
私は海外に行くとき、ちょっとだけでも単語を覚えていきます。
グラッツェ(ありがとう)やボナセーラ(こんばんは)のような挨拶から、ビリエット(切符)、プレノターレ(予約)、ウノ・ドゥエ・トレ・クワトロ・チンクエ(1・2・3・4・5)のような実用語まで・・・。単語を少しでも知っていると、そこから派生して、現地でよく使うフレーズが自然と身についてくるからです。
そして今回、1番よく使ったフレーズが“ドゥエ カッフェ ペルファボーレ”でした。意味は「エスプレッソを2つください」。イタリア人はしょっちゅうバール(喫茶店)に入ります。出勤途中で1杯、ランチの後で1杯、午後の休憩で1杯、帰宅途中で1杯―。主流はエスプレッソで、カウンターで立ったまま飲みます。そして不思議なことに、イタリアを歩いていると私もエスプレッソが飲みたくなるんですよねぇ・・・。だからしょっちゅう、
“ドゥエ カッフェ ペルファボーレ!”
さて、バールの利用方法は、スピーディー & フレンドリーです。
入店 → 立ったまま注文 → バリスタがエスプレッソをトンッと置く → クッと一飲み → 去る
滞在時間は3分程度です。早い!! カウンターだとバリスタとも隣の客とも距離が近くなるので、自然と会話がはずみます。むしろ黙っていると気まずいです。
※バリスタ・・・コーヒーを淹れるプロ
ローマやフィレンツェやナポリでたくさんのバールに入りましたが、どこも立ち飲みでした。
たまにテーブル席もあるけどカウンターの方が人気です。そして驚いたことに・・・本を読んだり、勉強したり、スマホを触ったり、ノートパソコンを開いている人はまったく見かけませんでした! バールは、いろんな人が入れ替わり立ち代りやってきて、たまたま隣り合わせた人と短いおしゃべりを楽しむ場のようです。日本のカフェとは全然ちがいますね。
「お国柄だねぇ」と夫と話していて気づきました。イタリアではスターバックスを見かけません?!あわてて調べると、たしかに、イタリアにスタバはありませんでした。世界中で見かけるスタバなのに、エスプレッソ大国イタリアには無いんです。“立ったまま・クッと飲む・見知らぬ人とのトークを楽しむイタリアバール”と、“座って・ちびちび飲む・読書など自分の時間を大切にするスターバックス”では、ソリが合わないのかもしれません。
しかし2017年、ついにスターバックスのイタリア1号店がミラノに進出するそうです。ローマでお世話になったホテルのオーナーに「イタリアにスタバが来るんだって」と話しかけたら、「アメリカ人はスタバで勉強したり仕事したりするんだろう?イタリア人はそんなセコイ事しないから、スタバは根付かないと思うなぁ」と言われました(うっ・・・、私もよくスタバで長居しちゃう。セコイ?)。
私個人はスタバが好きです。しかし、イタリアが「バールは3分の社交空間であって、1人ゆっくりする空間ではない」という理念を貫くなら、それもカッコイイと思います。スターバックスイタリア1号店の行方が気になる今日この頃です。