COBOLって知ってますか?
今回はシステムの長谷川より、ネットで話題になっているニュースをお届けします。
昨年末頃に日本のTwitterで「COBOL」というワードがトレンド入りしたのをご存知でしょうか?コンピューターの開発を知っている人からするとなぜ今「COBOL」がトレンド?という話題です。
「COBOL」って何なんだ!という方に説明しますと、「COBOL」(Common Business Oriented Language:共通事務処理用言語)は、1950年代に事務処理システム向けに開発されたプログラミング言語で、現在でも、金融・証券・政府機関や大企業の会計システムなどで広く利用されています。
誕生から60年以上も経ち、より効率的な新言語が登場する中で“レガシー(遺産)言語”とも冷やかされるくらい古い言語です。当時は開発メーカーごとに独自の言語が存在していたため、コンピューター間での互換性などまったくなかったのですが、「COBOL」が誕生したことで異なるメーカーのコンピューター間での互換性がとれるようになり、その革新さから瞬く間に世界中に浸透していきました。
「COBOL」は膨大な桁数や小数点計算に関して圧倒的な精度で計算できることや、英語によるプログラム記述を覚えてしまえば簡単にプログラムを作成することができる非常に優れたコンピューター言語です。そのため、1円の誤差、いや、数銭の誤差も許されない金融業界で、今でも主流として使われています。
現在でも世界中の商用データの約75%が「COBOL」によるコンピューターシステムであると言われており、誕生から半世紀以上過ぎてもなおコンピューターの主流言語のひとつの座を占めています。しかし、最近は「COBOL」を使用できる技術者の高齢化や引退などで極端に減ってきているのが現状です。
そんな古い言語である「COBOL」が今更Twitterのトレンドワードとして登場した理由は、世界最大のクラウドコンピューティング(従来のような手元のコンピュータで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどをインターネットを通じて利用する新しい方式)であるAWS(Amazon Web Services)において、クラウド上で使える言語として新たに加わったからです。
なぜAWSが新たに「COBOL」をサポート言語として採用したのかは定かではありませんが、一説によると、まだ「COBOL」をメインのシステム言語として使用している銀行や政府関係者からの要望がかなり大きいのでは、という噂です。
ネット上では「平成の終わりにCOBOLがトレンド入りとは……」、「久しぶりに名前を聞いた」、「習ったことのない言語ですね」、「IT界の生きる化石」など様々なコメントが飛び交っていますが、私もウン十年前に最初に習った「COBOL」がこのような話題になるとは思ってもみませんでした。
以上、ちょっとマニアックなコンピューター言語のお話でした。