2022年7月Vol.112 サクッと小噺
※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。
こんにちは、サクッと小噺のサクです。人生最後の日、何を食べたいですか?
私は子どもの頃からこのテーマをよく考えるのですが、ここ10年程は固定されています。
朝食はアメリカンブレックファースト、昼食はホッケ定食、夕食は蕎麦を食べたいです。
《朝食:アメリカンブレックファースト》
普段はサンドイッチが好きですが、人生最後の日は、シンプルなパンが食べたいです。食パンと白パンですね。ロメインレタスとベビーリーフには、オリーブオイルと塩を少し振りかけます。ふっくらしたオムレツを切ると、中からとろけたチーズが出てきます。カリカリに焼いたベーコンからは美味しい脂がしみ出します。ヨーグルトにはブルーベリーソースがかかっていて、ブルーベリーの果実も2つ3つ乗っています。飲み物はコーヒーも良いですが、私は紅茶のほうが好きです。自宅で夫と2人で静かに食べるか、隣の席との距離が離れた広々した空間のホテルのレストランで、やはり夫と2人で静かに食べたいです。息子は誰かに預かってもらおう。窓から暖かな日差しが差し込み、小さな音でモーツァルトがかかっていたら言うことありません。
《昼食:ホッケ定食》
青魚も白身魚も焼き魚も刺身も好きですが、人生最後の日は、ホッケの開きが食べたいです。大きくて脂がのった北海道産。箸を入れると身がフワッとほぐれて、口に入れるとホッケの旨味が口中に広がります。ご飯は炊き立てのコシヒカリ。お味噌汁は合わせ味噌で、具はカブとカブの葉。もちろんお新香つき。繁盛している小さな定食屋さんで、沢山のお客さんと一緒にガヤガヤと食べたいと思います。
《夕食:蕎麦》
このあと死ぬと分かっていたら、最後の食事は「食事」というより「儀式」に近いです。そうなると殺生はしたくない(肉や魚はダメ)。心身を清めるようなものが食べたいです。一口ごとに、心が安らかになっていくようなものが食べたいです。ならば・・・蕎麦です。美味しい盛り蕎麦を、汁ではなく抹茶塩でいただきます。
一口ずつ蕎麦の舌触りと香りを楽しみたいので、十割蕎麦にします(小麦粉を混ぜずに100%蕎麦粉だけで打った蕎麦で、麺の表面はザラザラして、歯を立てるとモチモチします。一方、小麦粉を混ぜると食感が滑らかになって、ツルリとしたのどごしになります)。しぶい蕎麦屋さんで、家族みんなが揃って、和やかに会話をしながら食べたいです。
そして最後は、背筋を伸ばして、蕎麦湯(蕎麦を茹でた湯)をクイッと飲んで、自分の人生とお世話になった方々への感謝を込めて、合掌。
「(人生を)ごちそうさまでした!ありがとうございました!」
社内でこんな話をしたら、「人生最後の日はヨボヨボのお婆ちゃんになって流動食かもよ?」と言われました。
がーん!!!理想の最後の日をむかえるためにも、今から歯を大切にしなくては。