2014年2月号Vol.20

こんにちは、サクライです。PDR新聞の2月号にも載りましたが、先日、旅先のタイで笛を売ってきました。
ある日の夕方、露店が並ぶ通りを散策していて、民族楽器(笛)を売っているお店に目が留まったんです。「買わなくてもいいからやってごらん」と売り子のオバサンに笛を渡されましたが、私が吹いても音が出ません。「違うわょー、こうょー」オバサンが教えてくれます。・・・あっ、ちょっと出た!少し面白くなってきたぞ。
私は腰を据えて練習を始めます(買ってもいないのに)。ぴっ・・・ぴ、ぴー。ぴぃいー!!

 

私がずっと吹いていたら観光客が足を止めて、「ハウマッチ?」と尋ねてきました。オ、オバサン、お客様だよ!価格交渉はプロにバトンタッチ・・・売れました。「ありがとう、アナタは看板娘ねぇ」 えへへ、褒められた♪
その後も度々こういう事が起こります。その間にオバサンの価格交渉を観察して、楽器ごとの最初の言い値と、落とし所の価格を覚えました。 ―よし、価格交渉、私もやってみましょう。

 

また観光客が足をとめます。笑顔でアイコンタクト、近づいてきたら軽く演奏、楽器を手渡して吹かせてあげます。
「いくら?」「450バーツ」「高いなぁ」「いくらなら買う?」「いくらにしてくれる?」・・・なんてやり取りを繰り返し、300バーツでお買い上げいただきました。やったぁ!  やがてオバサンは私に電卓を預けて、自分は本を読んだり他所に出かけたりし始めます。留守をしっかり守らなければ。

 

「何か吹いて」とリクエストしてくる人もいて、すごく緊張します。
さっきまで音が出たのに、全然出なくなったりします。
「音出ないじゃん」「いやっ、私が下手なだけで、ちゃんと出るんですよ!」―お客様を逃しました。オバサンごめん・・・。

 

私の写真を撮りたいと言う人もいます。いいけど・・・君が撮りたいのはタイの売り子でしょう。私は日本の旅行者だよ。
説明するのも面倒なので、そのままオッケーして写真を撮られます。

 

カタコトのタイ語で「もっと安くして」と言う人もいます。私タイ人じゃないし~なんて言ってガッカリさせたくないので、「タイ語で言われちゃ仕方ないなぁ」と笑って値下げします。

「キミはタイ人じゃないよね?」と聞いてくる人もいます。正直に日本人と答えます。「なんで日本人がここで笛売ってるの?」な、なりゆきで・・・。

 

結局、4時間お店にいました。手伝っていたのか邪魔していたのか分かりませんが、オバサンは「またおいで。毎晩ここにいるから」と言ってくれたので、そんなに迷惑ではなかったんだろうと思います。4時間吹きまくった笛は150バーツで購入しました。もう十分吹いたので正直それほど欲しくもなかったけど、楽しませていただいたので、そのお礼です。

 

とっても面白い夜でした。オバサン、旅行者、近くの露店商人達との触れ合いも楽しかったけど、なによりモノを売るという行為そのものが楽しかったです。私はその時バケーション真っ最中で仕事とは正反対の位置にいたわけですが、店番はどんな観光とも違う面白さがありました。

 

よし、私も楽しい歯ブラシ売りに戻ろーっと・・・と思って帰ってきました。