2017年9月Vol.62 サクッと小噺

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

 

空が高くなって秋の気配を感じる今日この頃、いかがお過ごしですか?

サクッと小噺のサクライです。

 

先日はじめて屋久島に行ってきました。縄文杉まで歩きましたよ!もののけ姫のモデル地も行きましたよ!でも、もっとも印象深かったのは宮之浦岳です。死ぬかと思いました。

 

宮之浦岳は九州で1番高い山です。穂高や剱岳のような険山ではありませんが、それでも日本百名山では最高難易度にランク付けされています。私は素人のくせに、恐れ多くも宮之浦岳に挑んでしまいました。

 

「ぜんぜん大丈夫だよ~」と言う体力バカ自慢な旦那に騙されて・・・

(彼は宮之浦岳の経験者です)。

 

結論から言うと、私は13時間かかりました。

 

○最初の4kmは急な登りが続きます。

 木の根や岩が複雑に絡み合っていてものすごく歩きづらい!

 土や空気は乾燥しているエリアです。風の音、鳥の声がよく聞こえます。

○そのあと2kmはところどころで水が湧いていて、

 苔がむしている湿ったエリアです。

 土と苔の匂いが強くて、とても気持ちがイイです。

○標高1700mから森林限界です。木が無いので視界がパァーッと開けて、

 まわりの山の峰々が一望できる絶景エリアです。しかし紫外線は強烈で、

 日焼け止めを塗っていても、長袖でも、肌がじりじり焼かれます。

 

上記のように、宮之浦岳はいろんな表情を持つ面白い山だったのですが、登頂したとき私は絶望していました。だって山頂まで6時間かかったんです!これから同じ道を下らなければいけないんです!それまでの私の登山経験はMAX往復6時間なのに・・・。もはや青い空も、緑の大地も、遠くに見える海も、楽しむ余裕はありません。

 

泣きそう~(というか、ちょっと泣きました)。

復路は、体力も精神もギリギリです。ギリギリの中で、自分の小ささをひしひしと感じました。カンカンと照りつける太陽は憎いけど、太陽のおかげで私が休む木陰も育つのです。岩を滑りやすくする流水は憎いけど、水のおかげで途中で水分補給ができるし、湯を沸かしてカップ麺も食べられるのです。地面を歩きにくくする木の根は憎いけど、木のおかげで流水が飲めるほど澄んでいるのです。

 

地球のシステムは巨大で、
私はその中で「たまたま生かしてもらっている」のだとよく分かりました。

私は「自力で生きている」のではなく、
「太陽や水や木に生かされている」のだと。

 

さて、なんとか無事に下山して、翌々日に日常に戻りました。その時の自分の“気持ち”がとても興味深かったんです!好きな会社や家庭でも、旅行から戻った直後はちょっと憂鬱なこともありますよね? 今までは私もそうだったのですが、屋久島から戻った私の胸中は「憂鬱」ではなく「感謝」でした。自分が生かされている事への感謝です。仕事にも家事にも感謝をもって向き合える・・・わたし悟っちゃった?!

 

 

悟りの境地は半月しか続きませんでしたが、
なかなか興味深い心理状態でした。

 

これは山の力・・・・?
気になるので、近いうちにまた山に行きたいと思います。

 

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