2024年8月Vol.137 サクッと小噺

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

≪処暑≫
処暑(しょしょ)です。二十四節気の第14番目で、例年8月23日頃からの15日間。
暑さの峠を越した頃。朝夕には涼しい風が吹き、山間部では霜が降り始め・・・嘘だ!まだ暑いよ!と思いますよね。私もそう思います。P.D.R.がある愛知県は温暖で、5月〜10月はTシャツ一枚で過ごせるので、まるで夏が6ヶ月あるようです。全国的にも、夏はどんどん長く厳しくなっているように感じます。
しかし、処暑までいけば暑さのピークは越えるというのも本当です。11年前に私は体でそれを学びました。

2013年、社会人3年目、それまで住んでいたシェアハウスを出て、自分でアパートを借りた年です。それまで家電はシェアハウスの物を使っていたので、引っ越してから少しずつ買い揃えました。エアコンは7月頭には設置される契約で、暑さのピーク前にはなんとか準備できる見込みでした。
ところが。エアコン工事のすこし前に、大家さんから全部屋へ立ち退き命令が出ました。「アパートの売却を決めたので、今年度中に出ていってください」と。まだ引っ越して半年なのに!もうすぐエアコンが来るのに!ひどい話です。手間と費用をかけてこの部屋に来たのに、また新たな住居を探さなければなりません。エアコンを次の住居に持っていく事もできますが、エアコンは取り外すとそれなりのダメージを受けますし、次の住居にエアコンが完備されている可能性もあります。
すぐ引っ越さなければいけないなら、いま設置するのは嫌だなぁ・・・私は電気屋さんに事情を伝えて、エアコン設置工事をキャンセルしました。
ところが。キャンセル後、気温はどんどん上がっていきます。7月1週目は30〜33℃でしたが、2週目には35〜37℃に達しました。私は寝る直前までカフェやレストランなど涼しい場所へ避難して、就寝時間に帰宅して、体中に冷えピタを貼って寝ました。翌朝には、汗を吸って膨張した冷えピタが布団の上に散乱して、血を吸って膨らんだヒルみたいで気持ち悪かったです。当時の部屋は1階だったにも関わらず、窓を開け放して寝ました。女の一人暮らしで1階で窓を開けて寝るなんて「何かあったら危険」なので最初は閉めたのですが、窓を閉めてみたら、「何かあったら危険」どころか「確実に危険」だと感じました。熱中症で死んでしまう、と。

電気屋さんに連絡してふたたびエアコン設置を頼みましたが、エアコン設置工事は今とても混んでいて、いま再予約しても対応は8月末とのこと。窓に設置するレンタル式エアコンも検討しましたが、レンタル式エアコンもこぞって貸出中でなかなか空きがありません。私は毎日その日の気温と体調と仕事と相談しながら、家で冷えピタを貼って寝たり、ビジネスホテルに泊まったりしながら、一日一日をしのいでいました。こんな生活をしていると、気温1℃の差に敏感になっていきます。
そして8月23〜25日あたりで気づきました。「すこしラクになった」と。外気温が体温を越えるか否かで体の疲労度は全然違いますが、最高気温が体温を越えなくなる頃が、この時期だったようです。
これが今年だけなのか例年そうなのか知りたくて、過去の夏気温の変動も調べてみました。お盆や処暑に台風がくると変動パターンが1週間ほどズレるのですが、そうでなければ、概ねお盆に暑さのラストピークを迎えて、処暑にはすこし落ち着きます。処暑もまだまだ暑いので、エアコン生活では差に気づけないくらいです。
でも、気温の記録を追ってみると、「連日体温越えの暑さ」ではなくなってくるのです。そう気づいたからといって暑さに強くなる訳ではありませんが、毎年の夏の気分はすこしラクになりました。
「処暑までいけばピークは越える」と、終わりの目安があると励みになります。日本全国、まだ秋の気配を感じる地域より暑い地域のほうが多いと思いますが、皆さん、処暑まできました。もうひとふんばりです。共に乗り切りましょう!