3月の1冊
今回は毎月恒例の独断と偏見に基づいた書籍紹介をさせていただきます。
今回ご紹介させていただくのは『広告批評』という雑誌です。内容としては、文字通りテレビやCMなどの広告の批評をするものです。1979年に創刊され、広告関係者や広告業界を目指す学生に親しまれてきましたが、休刊相次ぐ昨今の厳しい出版業界の影響もあり、惜しまれつつ2009年4月号で休刊。個人的に好きな雑誌だったので、残念です。
そもそも私がこの本に興味を持ったキッカケは就職活動中です。本が大好きで「面白い社会人は面白い本を読んでいるに違いない」と思っていた私は、面白い本が読みたいがために、会社説明会に行っても就職活動そっちのけで、企業の方に「おススメの本はありますか?」と聞いていました。「なんで会社や仕事の事じゃなくて、本の事を聞くんだろう」という顔をされ、まともに答えてもらえない事もありました(今思うと首をかしげられて当然の質問だったと思います…)。しかし、中にはそんな意味不明な質問にも親切に答えてくださる方もみえて、ある企業の方が「学生時代から読んでいて面白いですよ」と薦めてくれたのが『広告批評』でした。
『広告批評』の中には広告の裏側という得体の知れない世界が広がっていたので、とにかく新しいもの、知らないものに触れる事が好きな私は、定期的に読むようになりました。その時、私が興味を持ったのが当時話題になっていた「UNOのお笑い芸人52人CM」。52人の芸人さんが出演する、52バージョンがテレビで流された当時画期的な手法のCM。これを手がけたCMプランナーの箭内道彦さんが「52バージョン作る事で、観ている人に違和感を持たせ、そこから興味を引く事が狙い」とインタビューで話されていて「作り手はそんな事を考えて作っているのか!!!」と衝撃を受けた記憶があります。
今まで、広告は何となく見るものでしたが、『広告批評』を読み始めてから、この広告はどんな狙いで、誰に対して作っているものか考える様になりました。ただ、 面白いとは思っていても素人の私では制作者の意図がわかりませんでした。だから、制作者の意図がわかる『広告批評』の情報を頼りにしていたので、休刊は本当に残念です。ブックオフなど中古書店で時々バックナンバーを見かけますが、当時の広告がどういう狙いで作られていたのか知る事も面白いと思いますので、興味がある方は一度読んでみてください。