山男による海の思い出
こんにちは、制作の山男こと竹内です。
先日、渥美半島の「太平洋ロングビーチ」に友人を撮影しに行きました。
友人から「お前も波に乗ってみなよ」とすすめられたのですが、
うっかりサーフィンの楽しさを知るとハマってまた散財してしまうので、
丁寧に断り友人を見るだけにしておきました。
海岸線を散歩していると、
35年前の思い出が走馬灯のように頭の中を走りました。
この場所だ。
小学校6年生だった私は友人と旅の計画を立てました。
知多半島からフェリーに乗り、伊良湖岬へ。
そこから豊橋を通って知多半島に戻る1泊2日のサイクリングツアー。
その為に、当時小学生男子の間で流行っていたトップチューブに
6段変速が付いた自転車をさらにドロップハンドルに改造し、
荷台には両サイドに鞄を付けられるようにして、テントも積みました。
時期は夏休みと決め、
学校で地図を友人と見ていると担任の先生が「俺も連れてってくれ」。
保護者無しの旅行と決めていたのに・・・
こうして3人での旅が始まりました。
当日は快調に自転車は進みました。
フェリーに乗ったのは14時頃だったでしょうか。渥美半島上陸は15時。
太陽を遮る陰など全くない、海沿いの道を走ること数時間、
先生が「今日はこれくらいにしておこう」とつぶやきました。
1日目の目標は豊橋市内まで入る予定でしたが、先生には逆らえません。
近くでテントを張れる場所を探し、
海岸の奥まった所に日差しを遮れる場所がありました。
テントを設営し、水を調達すべく公園を探しましたが見つからず、
近くの農協で水を分けていただき、バケツまで貸してもらえました。
夕食を終え、すっかり日も落ち、満月の明かりに辺りが包まれる頃、
先生が「汗を流しに行こうと」と友人を連れ、海に入りました。
その瞬間、二人は波にのまれ見えなくなったのです。
慌てて友人の名を叫ぶと、
波にのまれた場所とはまったく違う場所から二人の頭が見えました。
安心したのと同時に、海の恐さを知りました。
テントの中で寝袋に入っていると、
先生が「明日はこの場所からもう一度フェリーに乗って帰ろう」と
言いだしました。
理由を聞くと「疲れた…」。
こうして旅は終わってしまいました。
先生さえいなかったら順調に旅は進み、目標が達成できたかもしれないのに。
子供の頃は悔しく思いましたが、今考えると、
6段変速の自転車で真夏の炎天下を2日で200km走破するのは、
小学生の我々には無謀だったかもしれません。
先生ありがとう。