2012年10月号Vol.4 2012年10月30日
こんにちは、サクライです。私は日本で生まれ、高校まで日本で学び、なんとなく勢いでカナダの大学に入学して、頑張って卒業しました。時々「じゃあ英語ペラペラなんだ!」と言われる事がありますがとんでもありません。凡人が外国語ペラペラになるためには、遅くとも15才までに習得しなければいけないそうです。
それまでロクに英語を学んでこなかった人間が海外の大学を出たところで、語学力は貧弱です。
少なくとも私はそうです。そんなわけで、今月はあまり役に立たない英語の話です。
外国語を学んでいて「面白いなぁ」と思うのは、その言語特有の「言いまわし」です。
“a piece of cake(簡単だよ)”はご存じの方も多いのではないでしょうか。
さて、私が感動した表現に“have good chemistry(ハヴ グッド ケミストリー)”というものがあります。
“have(持っている)” “good(良い)” “chemistry(化学 / 化学現象)”
H2(水素)+O2(酸素)→ 2H20(水)は中学で習いましたよね。ソレをイメージしてください。
水素と酸素が結合して水が生まれるように、あなたと私が出会って良い反応を起こす時― we have good chemistryと言うんです。訳すなら「相性が良い」ですが、日本語の「相性が良い」よりも、二人の関係に根本的なニュアンスが感じられます。
日本語で説明するのは難しいのですが―…「本能的に」、「細胞レベルで」、相性が良いとでもいいましょうか。誰かと誰かが化学反応を起こしている―そんなイメージはとても美しいです。
“have good chemistry”を学んだのは、友人との会話からです(もちろん会話は英語なので、私はよく変な勘違いをしていました)。カナダ人女子と留学生男子の恋の話…。
「初対面の時まだ彼は英語ができなかったんだけど、they have good chemistryでお付き合いが始まって―」そんな話でした。
この言いまわしを知らなかった私は「二人とも化学専攻で優秀なんだな。
化学式の筆談で盛り上がったのかしら」と思いました。
途中で、会話が噛み合っていない事に気づいた友人が
“have good chemistry”の意味を説明してくれました。
「えぇー、そういう意味だったの?!すごく上手い表現だね!
あ、じゃあさ、カラダの相性がいい時は
“have good biology(生物学)”って言うの?」
「言わないよっ!!!(怒)」
―まぁ確かに、カラダの相性がいい事をhave good biologyと言うのは、あまり美しくないです。
先に述べたとおり、私は特に英語が好きでも得意でもありません。そもそも語学の勉強は中学の時から嫌いです。でも、こういった「言いまわし」を知るのは楽しいんです。他の言語には訳せない上手い表現というのは日本語にも英語にもあって、その絶妙なニュアンスに、言葉の美しさを感じます。
友人、恋人、家族、仕事仲間―あなたと良い化学反応をおこしている方を思い浮かべてください。
その人とあなたは“have good chemistry”です。
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2012年9月号Vol.3 2012年09月30日
こんにちは!サクライです。ただいま歯ブラシセールの真っ最中です。
というわけで今回は、歯ブラシにまつわる小噺を一つ…。
私が歯ブラシの商品担当になったのは今から1年ちょっと前、社会人になって初めての夏でした。
「製造方法を知ろう」「品質が良いものを提供しよう」「たくさん売ろう」―まぁ新人の私が考える事はこの程度です。
しかし、歯ブラシが私に教えてくれる事は、歯ブラシの事だけではありません。ついこの前まで学生だった私に、歯ブラシは仕事のなんたるかを教えてくれます。さて、歯ブラシが教えてくれる事って…?
毛先の加工方法は、大人用・子ども用でも違うし、カリエス対策・歯周病対策でも違います。
顕微鏡で見なければわからないミクロな世界ですが、いろんな技が詰まっています。
毛はTORAY(東レ・モノフィラメント社)製で、歯周病対策の毛先を作る加工技術の詳細は、メーカーさんから私も教えてもらえません。「これは社外秘です。P.D.R.さんと言えども、お見せできません」
う~ん、歯ブラシの毛先に秘伝の術が施されているなんて、いったい誰が想像しましょうか。
歯ブラシの柄の生産も大変です。意外かもしれませんが(私はビックリしました)、柄の色を変えるだけでも一苦労なんです。「アソートを4色から6色にしてほしい」とP.D.R.はケロッと頼みましたが、それに対応するためにメーカーさんはバキバキ骨を折っています。色を変える時、別の色がついた金型をきれいに拭き取り、乾燥させなければいけません。これに時間がかかるんです。
歯ブラシの生産方法について語る時、メーカーのおっちゃん達はとても熱くなります。「良いモノを!」という熱意がメラメラしているのを感じます。もちろんメーカー側も商売ですが、面とむかって話していると、「商売人というより、職人さんだなぁ」とよく思います。
P.D.R.は通販なので、主な営業方法は「紙面」です(カタログ、チラシ、FAXなど)。この「紙面」を作る時、お客様の声がとても参考になります。お客様が紙面に登場してくださった事もあります。この方々がいなければ、商品にこだわっていることを楽しく紙面で伝えられません。ただ商品と価格を並べるだけになってしまうでしょう。そして「こんな雰囲気の紙面にしたい」という私の要望を、実際に形にしてくれるのはデザイナーさんやカメラマンさん、それに印刷業者さんです。
さて、歯ブラシが出来上がって、紙面も完成して、チラシが皆様のもとへ届いてから ― ご注文は電話・FAX・インターネットで承っています。電話やFAXの場合、コールセンターのスタッフが1つ1つの商品番号をパソコンに入力し、そのデータが物流センター(商品が保管されている倉庫です)へ飛びます。物流センターではそこのスタッフが手作業で商品を梱包し、運送業者の兄さんに託します。こうして、ようやく歯ブラシがお客様のもとに届きます。
到着後、ドクターや衛生士さんを通して、歯ブラシはやっと皆様や患者さんの歯を磨くことができるのです。そこで認めていただければ、再注文に繋がって、このサイクルがまた1から始まるわけです。
つまるところ、歯ブラシが私に教えてくれるのは…『仕事は一人ではできないよ』という事。
歯ブラシから、「ぼく1本を作って売るのに、こんなにも多くの人が関わっているんだよ」という話を聞いていると、「あんた72円でいいのかい!」とつっこみたくなります(笑)。
関わっている人数は、原料として石油が地下から出てきてペリッと袋を破られるまでに数百人、私が直接会ってる人と、その人達から聞いている人だけで数十人です。
でもこの72円から、関わった人みんなのお給料がでているわけで…経済の仕組みってすごいですね。
とにかく、私はひとりで歯ブラシ1本作れないし、歯ブラシ1本売れません。
いったい歯ブラシ担当として何をしているのか?…う~ん、未だ模索中です。
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2012年8月号Vol.2 2012年08月30日
こんにちは。サクライです。暑いですね!!!
それでも、今年の夏は昨年よりラクです。昨年はまったく眠れない熱帯夜が続きましたが、この夏は、日中は辛くとも夜はなんとか寝られます。日が落ちればそれなりに気温が下がるのは、国家規模の節電で二酸化炭素が減少したから?(よって熱が地上に留まりにくくなった)―と思っているのですが、どうなんでしょうね。
さて、このまえ埼玉の実家に帰ったら、とんでもない事になっていました。昨年から続く節電対策が過激化しています。エアコン不使用は当然で、扇風機さえ使いません。夜でも電気を点けません。
冷蔵庫と電話機以外の電化製品はコンセントを抜いています。
私「テレビつけていい? 堺●人が出てるんだって」
母「電気を使うと室内の温度が上がるからダメ」
私「?!」
母「光と音を出す電化製品は、特に熱を放出するから。ラジオにしなさいな」
妹「暑い~!! 扇風機つけようって言った人が負けで、アイスおごりね」
私「…そーゆーの、普通はエアコンでやるんだよ」
私「ちょっとお父さん、本読んでるんだから電気消さないでよ」
父「もったいないだろう」
私「夜、読書のために電気をつけるのは、全然もったいなくありません!」
父「明るいうちに読めばいいだろう。日は長いんだから」
休日でも朝は早く起きて(早朝の方が涼しいので)みんなで朝ごはんを食べます。
BGMにはハワイアンミュージックがかかっていて、「本当にハワイにいるみたい 」なんて言ってご満悦の4人。そんな私達の額には保冷剤が巻かれていて、かなり変な光景です。
朝食後、夜7時まで解散します。「家で電気を使わない事&暑さにやられず7時には生きて帰ってくる事」を誓い合い、それぞれ職場・図書館・美術館・鍾乳洞など、とにかく熱から逃れられる場所へ避難します。
夕方になると各自ぶらぶらと戻ってきます。夏バテしないようにしっかり夕食をとり、食後は風通しのよい庭で晩酌を楽しみます。蚊取り線香は必須です。
一見不便なようですが、コレはコレで優雅な生活です。
一日の終わりに、遠くから響いてくる太鼓の音に耳を澄ませながら、庭でぼーっとしていると「幸せだなぁ」としみじみ感じます(太鼓の音は夏祭りの練習です)。
我が家の節電は、日本や地球のためと言うより、完全に遊びになっていますが、結果は出ています。
昨年7月の光熱費は一昨年の32%減で、今年は昨年の更に22%減となりました。
今年8月の光熱費にいたっては、一昨年の半分を切る見込みです。ちなみに浮いたお金は、ちょっとイイお寿司や鰻に使われています。あなたのご家庭でもいかがですか?コツは、日中は家をあける事と、コンセントを抜いて待機電力をかけない事です。保冷剤とハワイアンミュージックも強力な助っ人です。
くれぐれも無理はなさらぬように…。
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2012年7月号Vol.1 2012年07月31日
はじめまして。前任のツゲから自引のお客様限定企画を引き継いだサクライです。
ツゲに負けないよう頑張っていきますので、これからよろしくお願いします。
さて、ただ今グローブセールの真っ最中です。
新商品に「リンガ」という商品があるのですが…この名前に少し関わる話です。
私はカナダの大学で宗教学を専攻していました。
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教…程度の差こそあれ、
どれも少しはかじりました。ヒンドゥー教は学んでも学んでもわからないので、
「もう感じるしかない」と思い、2ヶ月インドに居たこともあります。
そんなヒンドゥー教の神様に、シヴァ神という人気者がいます。
彼のシンボルがLinga(リンガ)というのですが、これは男根を意味します。
シヴァの寺院に行くと、リンガ専用のお家があったり、
20~30体(本?)のリンガがズラーッと並列したりしています。
なかなか壮観です。
男根信仰はインドだけではなく、世界各地で見られます。
私は女だから実感としてはわからないけれど、男性が性的に
興奮した時の「うぉー!」という感じはかなり強いんだろうし、
そこに超越的な力を重ね合わせて信仰に結び付いたとしても、
別に不思議はありません。新しい命も生み出すし。
でもラテックスグローブ(ゴム製品)に「リンガ」って名前はどうなの…?
商品名「リンガ」は、最初は「Linga」でした。産地インドネシアでは「Linga」は
よく女性の名前になる音で、響きがよかったのでそのままグローブにも採用したそうです。
私が「インドではLingaは男根ですよ」と言ったら「Ringa」に変わりました。
でもLingaだろうがRingaだろうが、日本語にしたらリンガだし、日本語の“リ”の音は
“Ri”じゃなくて“Li”です。
先日、同じ宗教学専攻の男友達と話しました。
「うちの会社から、リンガっていうゴム製品を発売したんだ」「コンドームか。リンガって
言うからには強くなるのか?」「社販で買って送れ」「違う、グローブだ」「手にはめて、
どんな効果があるんだ?」「しかし悪ふざけが過ぎやしないか。リンガは神様だぞ」……
彼らの反応を聞きながら、「そうだよねぇ。そうなるよねぇ。」と思いました。
リンガはよく出来たグローブです。あの質であの価格は、私も自信を持っておすすめします。
でも社内で「リンガ好調だねぇ」という話が出る度に、私はひとり苦笑せざるをえません。
さすがシヴァ神。強いな。
P.S. 余談ですが、弊社のグローブ担当・小野がグローブ相談室を開いています。
グローブに関してお悩みの方がいらっしゃいましたらお気軽にお電話ください。
見た目も中身もイイ男なので、グローブの話じゃなくても面白いと思います。
《グローブ相談室 開設期間8/20-31 14:00-16:00 TEL 0561-64-5216(有料)》
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